▲暴力と子羊 |
私は地(雪原)に臥し声無き声をあげて哭いた。
号は発せずとも、この悲痛な訴えを神が看過ごしになるはずはないだろう…私はひたすらに神の回答を待った。
私の前に白髪の老人が現れた。直感した。
「あなたは神様ですか?」
「え?」
「あなたは神なのですか!?」
「とんでもねえ、ワシゃ神様だ。」
私は言葉を失った。
このようなことでは私の無念が晴れることも、癒されることもない。
涙が涸れ果て、感情という感情を使い果たした後、脳裏に浮かび上がった言葉はひとつ。
「復讐せよ」
であった。
顔をあげ立ち上がろうとする私のもとに、かつて兄弟と呼んだ異国の男がやってくる。
憎々しくも笑みを湛えながら。
同郷の、同朋であったはずのあの男も腹を抱えて笑っている。
もはや神も仏も無い。我が無念は我が手で!! |
「そこな異国人の蛮人と異教徒の呑百姓め!我が娘の受けた屈辱を笑うとは何事か!?
うぬらのような下賤の者の血でこの剣を汚したくはなかったが、この無念は贖って貰うぞ!」
私の剣は片足がゆえにいつもの冴えはなかったが、無念を晴らせとの思いが欠損した我が肉体を後押しする。
私は二人を相手に四、五十合渡り合ったが勝敗は決せず、しかし次第に二人の剣捌きがたじたじとなっていることを感じ取っていた。
「その首級貰い受ける!」
私が剣を振り上げ無念を晴らさんとしたその一瞬気合一閃「テッコンV!!」という雄叫びが響き渡った。 |