その時、私は会社の入り口の近くに立っていた。
雪がやんだ世界は見た目は同じもののどこか感じが違っていた。
私の内に感じられる湧き上がる力のせいだろう。
目の前に見えるビルを破壊することも、赤子の手をねじるよりも簡単に思えてくるほどだ。
そして、湧き上がる力を抑え込むほど私は愚かな人間ではなかった。
現に力を持ち、揮うべき場面がある。
その前に、この感じられる力が果たして本当のなのか |
試す必要がある。
と、私はまず会社入り口の踊り場から道路を眺めていた。
私がただの妄想家なのか、天下に君臨する資質を持つ者なのかを認識するための最初の一歩…。
目の前を車が通り過ぎようとしていた。私は肚の底から、かの憐れな魂が一瞬の内に漆黒の闇に消え去る事を願った。
印を結び気合もろとも一喝。すると見事に目の前を走っていた車は光陰だけ残し何処かへと消え去ってしまった。
私は大いに笑った。
真実を求める叫びは天に届き、授けられた力は天の意志そのものとなったのだ。
我が勇猛を挫こうとする邪悪な魔法使いどものいかなる攻撃も今や塵芥も同然なのだ! |
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