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前説
 
 異国の兄弟(以後兄弟)と同胞の先輩である営業マン氏(以後同胞)がまたしても集った。
どうやら滑走ジャンキーになってしまったようだ。

 前回の争いはどうなったかって?

 剣の力ではオレに勝てぬとみた二人はそれぞれの得物を手にした。
兄弟はテッコンVに乗り、同胞はメガロマンに変身し、負けじとオレはギャラクタスを召喚した。
 日韓連合軍対赤の戦士の天と地を分ける戦いが始まったのだ。
 鉄塊の脚が舞い、メガロンファイヤーが空を焼き、ギャラクタスは受けたパワーを己の飢えを満たす食料に変換する。いずれも勝敗は決せず、巻き込まれた群集はといえば、兄は弟を呼び、親は子を探すという有様。
夕刻を待たずしてたんばらスキーパークは焦土と化し、3000人の犠牲者が出るに至った。このことは我らの力の程を知った邪悪な魔法使いどもといえども、この時ばかりは我らの尻拭いをせざるを得なくなり表沙汰にはならなかったようだ。
 ドン・キホーテ曰く「まことの勇気に対抗できる魔法があろうかな?魔法使いどもは拙者の幸運を奪いとることは出来よう。しかし意志と気力には到底かなわんのじゃ。」というところ。
 結局、散々人を殺して煮え繰り返る情念を晴らしたオレたちは晴れ晴れとした笑顔でツアーバスに乗り込んだ。そして我々は以前より強い絆で結ばれることになったのである。
 しかし、屁こき客は生き残っていたようで、4時間以上にも及ぶロングドライブは地獄であった。
弱り目に祟り目とはよく言ったもので、オレは携帯を紛失したうえ(後に発見され手元に戻ったが)知り合ったばっかの女に呆気なくフラれ邪悪な魔法使いどもの嫉妬と呪いに最後まで苦しめられることになったのだった。
 尻切トンボに終わった前回の思い出にはこのようなエピソードがあり、更に高まる両国政府間における緊張を考慮して、前回のクライマックスとなったであろう描写を敢えて抽象的なものに抑えざるをえなかったのだ。

これでオレがいかに思慮深い人間であるか理解してもらえたと思う。

 この日の来る2週間前からオレたちは落ち着かなかった。

 本来なら、プリスポーンのバスを思い次回釣行の作戦やシュミレーションを行い、過去のデータブックを引っ張り出し、各種マニュアルを読み漁り、釣具屋に細かく顔を出しってとこなんだが、車も無いし、SPシャッドの操作に適したテクナを失ったし、今時メジャーフィールドは釣れないし、釣堀で苦戦するのも癪だからってんで兄弟や同胞という新しい友人が出来たのを機に、新たな冬の遊び方を模索することになったってワケよ。本当は今みたいなスケジュールで休日を過ごすなら空手が一番いいんだけど(金はかからないし体は鍛えられるし)、格闘技好きで更に実践しようという大人はなかなかいないからねえ…。

 また話が横道に逸れてしまった。

 とにかく仕事の合間に兄弟と話すのは次回のボードの話ばかり。そこに同胞からのゲレンデ情報やらアクセス手段やらを講じているうちに当日が近付いてきた。
 新たな参加者に兄弟と同郷の女との情報が!
 今回はパワーに加え色気もあるぞ、嬉しいな。
 「韓国の女はダメですよ、気が強すぎて」とは兄弟の弁。
 しかし、Mなオレには当てはまらんのよ。それに遍歴の騎士道に身を置くものは常に恋をしていて、たとえ思い姫に袖にされつれなくされても、すべては比類なき思い姫の名に懸けて命を賭すものなのだ。
一方でガキんちょのように遊ぶオレらには初心者や女は邪魔、という考えもあったりするがオレら自身初心者だし、まあいいじゃねえか!

かくして出発数日前全ての段取りが決まり、あとは当日を待つだけとなった。

 さて本題…題して・・・
魔法使いの復讐
〜呪われた誕生日前夜〜
第一章 集合までに語られるいくつかの冒険について

▲写真は本文とは関係ありません
 
 オレは兄弟や同胞に事あるごとに邪悪な魔法使いの存在について説いてきた。
遍歴の騎士道に身を置くオレには、空気があるかのごとく当たり前に存在するものであるが、彼らは自分が騎士(好漢といってもいい)であることにも気付いてなければ当然魔法使いの存在も絵空事と思っていたのだ。このような全てがまやかしに包まれた世界が現実であってみれば、むべなるかなである。理解しない彼らを責めるのは間違っているのだ。
 ここに来るに至り、ジーザスの苦労をようやく理解できようというところ。

 前日、師匠と綾瀬でしこたま飲んで昼間はKDDIに起こされ「お宅はメタルプラスに入れません。個人情報はNTTが教えてくれないので、あなたがNTTに聞いてください」などという電話に起こされ、重い頭のままNTTに電話…そしたらオレの電話の権利ってお上に差し押さえられてるんだと。
 まじで、暴力革命でも起こすか?
 気分は良くなかった。
 二重取り三重取りを国民を導く連中が率先してやってやがる。
 よこしまな賢人たちによる悪魔の上前をハネるような所業さ。
 こんなご時世だから、寡婦、乙女、孤児の庇護者たる遍歴の騎士がなおさら必要なのである。
騎士は文よりも武の優位性を信奉し、武がすなわち相手を屈服せしめる暴力とはまったく異なるものであることを知っている。
そんなことを考えていたら午睡をとることもままならなくなり、同胞と待ち合わせの場所へと向かう。
兄弟は出発が遅れるようだ。
 
 魔法使いの所業による自らの不幸と、この世にはびこる不正・欺瞞に対する怒りは収まらぬものの、同胞と会って翌日の話やこれから会う異国の姫の話をしているうちに、落ち着きを取り戻したオレ。
 ペドロ・ラバナレス・オリベイラさんのお茶目な給仕ぶりにもすっかり心が和んでいた上野の夜。
 兄弟の到着が予想以上に遅れてるのが気になる。

 兄弟が来ないのでとりあえず同胞の城に入り、時間を潰す。
この城にまつわる同胞の悲しきエピソードは、本人は笑って話すものの、なまなかなことでは贖えないストーリーがあるに違いないのだ。好漢である同胞は敢えて笑い話にしてるけど…。
 「2代目はクリスチャン」をやっていた。銃撃戦、アクション描写はショボかったが、えっちゃんが久々に見れたんで良かった。同胞はロングドライブに備え仮眠を取り、オレは同胞のコレクションを漁ってガンダムを見ていた。
 12時も回ってから兄弟と合流。
 遅れた理由…カミさんがらみ。「エエ、話や〜。アンタ男の鑑だねえ…。」ってか、ぶっ殺していい?

 3人が勢揃いし、あとは姫を迎えるのみとなった。
 姫の魔法が解けるまで、数時間あったので、我々は…つまり…オッサンが3人雁首揃えて「北の国から」を見ながら目頭を熱くしていた。

 やがて兄弟と同郷の異国姫が現れた。
 言葉は兄弟がフォローしてくれるので何の不安も無く迎えることが出来た。
 「同胞よ、このやんごとなきお方がそなたの思い姫でござるな。」
 「左様、ドラゴン殿。このお方こそ我が心の領土を支配する比類なき異国の姫でござる。姫は我らの試みに大いに賛同し、この度、遍歴の一行に加わりたいと申されたのだ。くれぐれも粗相のなきよう。」
 「ご心配召されるな、同胞。拙者も遍歴の騎士道に身を置くものであってみれば、すべからくすべてのご婦人の味方でござりまする。」
 「ドラゴン殿の志がかくも気高きものであったとは、流石は大丈夫。」
 「では(一同声を揃えて)、ポポヨチュセヨ。」
 まことにやんごとなき見目麗しい姫。
 我が思い姫の比類なき美貌には及ばぬも、その物腰、慎ましやかな態度は可憐という言葉が正に当てはまる姫であった。
 オレは跪き、うやうやしく姫の手の甲に接吻した。
 すると姫はオレの首に剣の峰を当て、正式の騎士として叙任してくださった。
 「カジャ!」
 オレのカタコト韓国語と共に鉄馬車が走り出す。

 道中は格別の話もなく通常の会話。出身地の話や仕事の話など。書き記す程のこともも無い。
 長野県に入ってから様子が変わってきた。
同胞はサンダル履き。姫は生脚を晒し、オレと兄弟は東京でも「寒い」とぶーたれるようないでたち。
 便意を催し、腹が減りPAを求めて進んでいたら瞬く間に雪の世界に包まれていった。
皆無謀な服装のまま本能の赴くままに厠を目指す。
 そそくさと用を済ませたオレは食い物を求めたが、飯屋は閉店中。
 兄弟も姫も想定外の景色に言葉を失っている。
 「雪ってこんなに降るんですね。」
 「さよう。しかしこれとて恐れるに足りぬことなのじゃ。我が故郷もこのような景色は日常的なものであってみれば、気温の差は違えども容易に越えられる試練よ。だがな、兄弟。拙者は雪道の運転は出来ぬのじゃ。ここは同胞とそなただけが頼りじゃ。事と次第によっては、そなたの戦車部隊で鍛えた腕前で武勲を立てることも出来るやも知れぬて。」
 長距離運転でだいぶ神経の参っていた同胞がこの会話に入ってきた。
 「さりとて、魔法使いどもの手練手管には注意せねばならぬのだろうて。のう、ドラゴン殿。」いい感じで壊れてきたな…オレは同胞の言葉をひきとった。
 「いかにも同胞殿の仰せの通り、ゆめゆめ用心を怠らぬことじゃ。もっとも用心したところで思いもよらぬ形で魔法は襲いかかってくる性質のもの。ここは我らに味方する賢人と神の御手にすべてを委ねるほかなさそうでござる。」
 兄弟が我らの込み入った日本語会話に顔をしかめながら「食堂が閉まってるのも魔法ですか?」と訊いてきた。
 「おおきにそうかもしれんて。」
 呪われたパーキングを出ようとしたら、甲斐甲斐しくも姫が雪が降り積もるパーキングで我々の出発を待っていた。
 「姫、申し訳ございませんでした。この無礼は畜生に生まれ変わってでも贖わせていただきます!」
 オレたちはひたすら平伏した。

 時は既に6時を回り、日は出ていなかったがすでに明るくなっていた。雪の壁に囲まれたインターは出口がわかりづらく、知らずに入った管理用道路Uターンという離れ業をもって何とか目的のインターから降りることができた。
 ここに二つの魔法が作用していたことを記しておこう。
 一つはカーナビに仕掛けられた呪い。そしてもう一つは雪の精をたぶらかした長野県土木管理局の官僚による奸計。この程度の妨害にひるむオレたちではないが(なにしろ今回は姫がついているのだから)、100斤の力が70斤ぐらいにまで落とされたのは確かであった。
 この時点で魔法の存在に懐疑的であった軍隊出身の兄弟も魔法の存在を認める気になっていたことを後に告白した。
 嫉妬深く執念深く卑劣な魔法使いはやはりオレに取りついていて、やはり周りの人間にも塁を及ぼす。
 中でも現代テクノロジーの粋であるカーナビにはひどく嫉妬しているようで目的地への道のりを撹乱し、道なき道に一行を導いた。
しかし、勇気と義気の騎士にして好漢たるオレたちはそんなことで折れたりはしない。
 70斤の力が69斤に減った程度だ。
 そして窮地を救う賢人が現れた。
 上越の老婆、用田さんだ。
 用田さんはフォースの力でスキー場に至る道筋を示してくれた。
 フォースにはフォースで。
 「辺境のジェダイよ。フォースと共にあらんことを。」
 この魔法はフォースの共鳴により解かれた。
やがて一行は目的地に辿り着いた。
第二章 ひと握りの¥のために

「僕たちは週末レジャーを楽しみにやってきたのさ。
ここのスキー場はすげえな、何たって西洋とは縁もゆかりも無いような牧歌的な景色の中に突如西洋風のバブリーな佇まいのでっかい館が建ってるんだぜ。」
一同に冷め冷めとした予感が走る。
「同胞殿、どうやら安比の中央版といった感じでござるな。」
「同感じゃよ。安比は悪のリゾート施設ではあるが、ゲレンデは良好で可もなく不可もなくといったところであるから良いようなものの、ここは中央の息がそこかしこに吹きかかっているかのようじゃて。この冒険は果たして失敗だったのであろうか…そのうちわかろうて。」
「遍歴の騎士というものは姫への慎ましくも熱き思いがあるならば、いかなる艱難辛苦も喜んで受けいれるというもの。流石は同胞殿、騎士の鑑です。」
「ドラゴン殿こそ。騎士の模範を示すためにも初心者である異国姫の面倒を見てはくれまいか?」
「いいえ、あのお方が同胞殿の思い姫であってみれば、拙者が庇護するのは筋違いでござる。拙者はいかにも田舎育ちのがさつ者故、ここは謹んで辞退する所存で候。」
と、とにかく早く滑りたいオレはもっともな事を言い、同胞に姫を押し付けたのであった。
 兄弟は自分のこととなると突然饒舌になるオレに驚嘆していた。
「口上手いですね。」
「この三寸不爛の舌を持ってすれば白を黒と言わせることも可能です。」
 …と先日の酒の席での失策をすっかり忘れていたお茶目なオレ。
 このように機知に富んだ会話を交わしながら、不安を一時的に忘れエントリー。
あっという間に9000円消費!

▲グル、髭を落とすの図
 
 ヘルメットを被った客の多さと、ストレッチを入念に行う客の多さに一時的に忘れた不安は別のものに形を変え我が胸に募る。兄弟も同様であった。
 同胞はしたり顔。余裕綽々。
 姫は準備に手間取りそれどころではない。何とも可憐なものである。

「姫、我ら男衆は準備できましたゆえ、何なりと。」

やんごとなき姫のお許しを得てようやく一行は籠の中へ入った。籠のレギュレーションは平民も王侯貴族も分け隔てなく同乗するのが決まりのようで、呑百姓が二人乗り込んできたが礼を欠くことがなかったので、我々も当地が定めたレギュレーションを遵守した。

 かくして着いた山頂付近。
吹雪に視界は奪われ、籠から眺めた段で急斜面は避けて通れないし、オレも兄弟も初心者。喜ぶのは中級以上の腕を持つ同胞だけ。姫はというと…早くもそのやんごとなき体を雪原に打ちつけあそばれていた。
 しかし、これは邪悪な魔法使いの陰謀の及ばぬ世界での困難であって厳しくも耐えられる類の試練。
 それにしても日本人のボーダーのレベルも大したもんだ。
 ヒゲを剃った麻原章晃…否、今井メロなんてのもオリンピックに行けるのも道理という感じがした。つまり底辺が広がっているということだ。
 先が見えぬ状態で姫も兄弟も見失ってしまった…ミニスキーであればこのような状態も望むところなのだがボードとあってはそうもいかない。早くシルバーサーファー(MARVEL COMICS)のようにボードと一心同体になりたいもんだが、オレはコズミックパワーを持っていないのでひたすら練習するしかないようだ。

 何とか麓まで降り仲間の到着を待つオレ。
 兄弟をいつの間にか追い越していた。
 まあ、一応オレ雪国育ちだもんね…その雪国が嫌で東京に逃げてきたクチだが。

 長らく待って姫と同胞が来た。
「同胞殿、ここは上級者向けのようでござる。同胞殿はともかく、ここでは姫が難儀するばかりでありますれば、いっそ籠に乗り下まで降りるのが賢明かと…まずは姫のことを思

▲オレの頭 戦ってます
ってみればの提言であって、我ら兄弟、決して怯んでいるわけではござらん。姫のために下りを籠に乗るという屈辱をあえて被りなさるほか道はないものと存じます。」
 「それがよかろう。」
 オレのビビりを見透かされたかどうかは別として、とりあえず標高の低い穏やかな斜面で遊ぶことに決定。
 助かったぜ、兄弟!

 ここからはギャップの激しい急斜面で肝を冷やされる場面はあったものの、プロテクターのおかげもあり、何度も転びながら練習に励んだ。
 今や兄弟と同等に滑れるようになっていた。

 姫はというと…わかんねえ、とりあえず気持ちいいからいいや。
 その軽薄さが災いを招いたのか、魔法使いの魔の手は確実に我々に迫っていた。
 
 さほど滑らぬうちに腹が減り、食事券千円分チケットがあったのでそいつを持ってレストハウスへ向かった一行。

▲これで1000円…ナメてんのか!!
 「ドラゴン殿、ひとしきり体を動かした後のビールの格別さはご存知でしょうな?」
 「同胞殿、ここへ来て飲まぬというのは野暮の極みというもの。拙者、田舎侍のそこつ者とはいえ粋のたしなみはわきまえているつもりです。」
 「それは良かった。では参りましょう。」
 一行はレストハウスに入った…メニュー表、一品1000円クラス…絶句。
 「何がパックで申し込むとランチサービスじゃい?サービスする気なんかさらさらねえじゃんかよ!」
 私の悪態はたしかにはしたないものであったが真実を突いていたので咎めるものはなかった。
 あんだけ豪勢な佇まいのくせにATMさえ置いてないので、オレたちの持ち金はひもじいことこの上なかった。
 「先輩、わんどビール飲んでまったら街゛さ出るまでジェンコねんでねえべが?」
 「んだいな。そいでもビール飲まねばへずねしてやってられねえべや。」
 「んだいな。」
 心配そうに我らを見る兄弟。
 「僕らが韓国語で喋るからそんな言葉を使うんですか?何を言ってるのかわかりません。」
 「動揺してるのよ。このような事態は予測していたとはいえ目の当たりにすると…どうしてもな。」
 「動揺のあまりお国訛りが出てしいました。どうかお咎めくだいさいませぬよう。」
 背に腹は替えられぬ、ということでビールを。
 姫を見ると、さすがはやんごとなき方。実に飄々としてらっしゃった。
 姫を見ていると我々のくさくさした心が和らいでいく。
 オレは跪き、改めて姫の手に接吻した。
 山頂から降りる折は正直、厄介なの来ちゃったなあ〜、などという気持ちが芽生えてたことをここで告白しておこう。しかし、ここへ来て、やはり彼女がいて良かったとつくずく思うのであった。
 同胞も兄弟も同じ気持ちであった…といっても面倒見てたのは同胞だけだけどね。
 オレらはひたすら己の快楽を求めるのみだったけど。

 しっかし、このバカ高メシには怒り心頭でこれを書いている2月17日現在もまだ根に持ってるほどである。
第三章 INVINCIBLE

▲辺境に築かれた悪魔の城
 
 とりあえず貴族らしく午後のひと時を優雅に姫と語らいながら過ごしたかったが、何分日帰りの駆け足旅行ゆえそのような悠長なことも言ってられず、オレと兄弟はそそくさとゲレンデを目指した。

 午後のトライで兄弟は白人のイカすねえちゃんに体当たりをかましていた。バックから。
 「切羽詰った童貞というわけでもあるまいに、何故そのように早まった真似を?帯妻者でもあるそなたらしくもない。」
 「止まらなかったんだ。ぶつかった時は何が何だかわからずひたすら謝ったけど、良く見たら可愛いじゃないですか。今日はやたら上手いやつばっかいたし、思うように滑れないしヘコむこといっぱいあったけど、これで救われました。
 でもあの男、何考えてるんでしょうね?オレの妻にあんなことされたらブン殴りますよ!」
 珍しく兄弟は饒舌だった。
 コメントにも熱き大陸の気概が感じられた。
 やっぱアンタ、ナイス・ガイだ。

 しかし、魔法使いどもの呪いの力は凄まじく、兄弟いわく今日一番の収穫である白人美女との接触は、実は巧妙に仕組まれた罠だったのだ。
 携帯を失っていた。
 前回はオレがやられたが、今回は兄弟だった。
 オレは失うものなんてないからふさぎこめばそれで済む話だが兄弟はそうもいかない。
 「○○ちゃんに連絡しなきゃ。」
 「誰それ?」
 「妻です。」
 ああ、勝手にせい。と言いながらもオレの携帯を貸してやった。さりげなく優しいオレさ。
 問題は見たことも無い電話に番号にでるのだろうか?
 「オレの携帯のデータは妻がチェックしてるから大丈夫です。ドラゴンさんの番号も知ってます。」
 だんだんムカついてきた。
 さっさと用を済ましてしまうがいいぜ!長引くようなら姫のことやら白人女のことを尾ひれつけて言ったろうか。あることないこと並べ立てて、この三寸不爛の舌を存分に揮うぞ。持たざるもののひがみってな恐ろしいんだからな。
 すまん、兄弟。オレたちは義に依って集まった兄弟だったな。つまらない嫉妬が頭をもたげてしまったよ。
 嫉妬は最大の敵であって、かの魔法使いどもの行動原理も嫉妬ゆえであった。
 「ああ、兄弟。存分に愛妻と語らうがいいさ!」

 それにしても許せぬのはアライナントカという銭の亡者ども。高い金を徴収しておきながら魔法使いども結

託しおって!
 オレは遂に宝剣を抜いた。印を結び、念を込めて気合と共に剣を振った。
 たちまち黒雲が湧きおこり、悪風が吹き始める。
 太古より、雲出るところには龍が現れ、つむじ風の起こるところには虎が現れるという。

 かくして入雲龍・公孫勝直伝の法術で大いに悪魔城をさわがせ魔法使いどもの心胆をして寒からしめてやったのであった。
 もはや我々に逆らうものはなにも無い。
 
 さあ、姫の様子を見に行こう!
 「姫、ご無事ですか?」
 「ダイジョウブデス…」
しかし姫が向かおうとしているその先は『自己責任において…』と書かれた看板のある超上級者向けのトライアルコース。
 姫はボードを足から外し座り込んだ状態で滑り出していった。
 やっぱ若い娘っこがああいうことやると可愛らしいですな。
 このコースには同胞が降りていったので、オレたちは自分のレベルに合ったコースを降りるとしよう。

 渋滞を憂慮する日帰り旅行。まだ滑り足りない状態であったが東京まではなから・・・遠い。

 我々は「ここはもう二度と来ねえよ!」と散々悪態をつきスキー場を後にするのだった。




▲我が法術の冴えを見よ!これぞ天書の法なり!辺境の悪魔城をアストラル界の遥か深淵に封印してやったぜ! 
終章 
この章では物語の収束とその他のことどもが語られる

▲幻惑のトンネル 蹂躙された土地神の無念と死者の怨嗟が木霊する

 すでに月日はめぐって2月24日。
 またひとつ歳を取った。
 相変わらず、邪悪な魔法に取り囲まれている。
 ひとつ払いのけても、すぐに次が来る。
 私事はひとまず置いておいて、なによりも冒険の決着を述べなければならない。

 ボードの操作レベルそのものは間違いなくアップした。
 やはり楽しい、ということを再認識した。
 しかし、その他のことは最悪だった。
 携帯を失った兄弟。
 ATMが無いために、ひどく不安に怯える文無しども…あったところで蓄えてる金額などたかが知れてるのだが。
 騎士たちは満身創痍だ。
 そんな中、姫だけはマイペースだった。
 「私、のどが渇いたわ。眠いから寝ます。」
 「同胞殿、やはり高貴な身分の方はすべてにおいて違いますな。所詮我らは下賤の者。かような鷹揚さはおおきに見習うべきでしょうな。」
 「ドラゴン殿の言うことはいちいちごもっともです。」
 ふと、隣を見ると兄弟もダウンしていた。イヤホンを付けたまま。やっぱ軍隊育ちは違う、と感心していたらオレにも抗いがたいローレライか

▲「赤城の山も今宵限り」多分
またはセイレーンの歌声が…。

 気付くと渋滞していた。
 「魔法使いにやられたよ。」と同胞。
 「魔法を解く手立ては?」
 「突貫あるのみ。」

 空を見る。
 『青い月夜に悪魔とダンスする』語源がどこにあるのはわからないが、バットマンやレザーフェイスの曲で聞いたことのある言い回しが脳裏をよぎった。

 まだ群馬県にいた。
 高崎・ファット・アスが愛してやまない群馬県だ。
 ファット・アスの影響で妙に群馬に詳しくなってしまったオレ。ファット・アスは間違いなく魔法使いどもの走狗だ。
 托塔天王の形見をもらいうけ、そいつを売り払い我々の前から姿を消した、あの豚野郎…。


▲「先生、この世に永遠のものはありますか?」
 「月がある。太陽がある。そして命がある。」 

▲20代の頃の思い出よさらば…群馬に夕闇が迫る
焼き饅頭を食い、雨の碓氷峠を越えた野郎だらけの軽井沢ツーリング…その頃はOXチャンバーが不満を漏らしてたな
ショップツーリングでカタナ、ニンジャ、ハレー、CBR600にRVFで追走したぶどう峠…あん時の先頭集団はクールだったな
 同胞が力尽きようとしていた。
 しかし渋滞は運転手の交代を許さない。
 兄弟が目を覚ました。自分の出番はまだかと掌を揉みながら待ち構えていた。
 姫も目を覚ました。ここで判明、姫にかかった魔法は19時まで。
 「そういえば姫、私はまだその御尊名をお聞きしておりませんでしたが、もしやあなたのお名前は…。」
 「シンデレラです。」

 何とかパーキングに入り兄弟が運転手に。同胞は戦線離脱。
 
 アジアの虎のドラテクは凄まじかった。
 戦車部隊で上官に蹴飛ばされながら培われた技術は半端ではない。機体は違っても乗り物であることには変わりないのだ。
 カボチャの馬車が鉄の燃料噴射装置に。カローラがスープラに!

 やがて都内に戻り、駅で同胞とお別れだ。
 そして姫は最後に口にした言葉「足痛い…。」

 どうやら、いかに高貴なお方とはいえ普通の人間と変わらないんだ、ということを知った。

 尚、同胞は姫の傍仕えがよっぽど堪えたのか、次回中毒紀行のメンバーには入れてないみたい。ちょっと寂しいな。
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