その拾八「殺人児童集団
ザ・チャイルド

 世間的評価は知るべくもないが、スペイン映画の傑作ホラー!
 
 オープニングのナレーションと気の抜けた子供たちのコーラスが始まった時には「こりゃ、低予算バカ(悪い意味での)映画か?」と危惧したものだが、まったくの杞憂というやつだった。
 
 明かるく乾いた映像、低予算映画ならではのメインキャラクターの少なさが何の不自然さも無く、舞台によく似合っていた。
 内容的には子供版「ゾンビ」といった感じだが、抑えの効いた描写、閉ざされた島という空間、そもそも何故子供が大人を襲うのか?見る者に様々なアテンションをさり気なく刷り込み、恐怖演出はこれみよがしではなく、淡々と物語は進む。
 自分が子供だった時のことを思い出してほしい。今では何故あんなことできたんだろう?あんなことをしたんだろう?と思えるようなことが幾つかあるはずである。
 本編に於いては、子供が大人を殺す理由をそこに据えている。

 これといったハイライトも無く、ただ一組の夫婦が観光で行った島でどんな恐怖が待ち受けていたのか?という表記で済まされる内容の粗筋ではあるが、作り手の手腕によって「読み込めるエンターテイメント」に仕上がっているのである。

 80年代後半以降のハリウッド予算A級内容B級以下のマクドナルド・エンターテイメント・ムービーを愛する人にはお薦め出来ないが、「作品」を読むのが好きな映画好きには是非見て欲しい一作。
 
 オレん家の近所のツタヤにもあったぐらいなので、ホラーとかサスペンスのコーナーを覗けばあると思う。
 この作品の存在を知ったのは「映画秘宝」を愛読するようになってたお陰で、70年代にこんな作品があったことなど露ほども知らなかった。
 公開当時、上映禁止になったほどの映画だそうだ。
 確かに子供の教育にはよろしくない内容かもしれないけど、この映画を興味深く最後まで見てられる子供がいるとしたら、作品に登場する殺人に興じる子供以上に不気味である。



その拾七「原題不明
タイムクラッシュ 時空カタストロフ

 台風で稽古が中止になったのでテレ東の木曜洋画劇場を見ていた。
 オープニングにキャスパー・ヴァン・ディーンの名を発見。
 リコとマーチン・シーン。なかなかナイスなキャスティングだなと思い見てたらこれが見事なB級娯楽作品となっていた。
 B級と言ってるが娯楽作品に於いてB級とA級の違いは制作、パブリシティ、配役に掛ける予算の違いだけであって、作品性や面白さという比較ではB級がA級より優れているのはよくあることだ。
 
 今回のこれもキャラクターの立ち方、ストーリー展開のテンポの良さ。わかりやすい状況描写。どんでん返し…よくまあこれだけ出来たなって感じだ。
 壮大な時間軸やSF的設定をコンパクトにわかり易く舞台がアメリカだけで済むようにうまい具合にまとめていた。
 ご都合主義では?と思える展開も上手い具合に辻褄を合わせあとで納得できるように作られてた。

 思わぬめっけもん的佳作小品って感じで良かったのではないだろうか。
 ビッグバジェットの映画は総じてほとぼりが冷めたころに見てみると結構つまんないものが多かったりするのでストレスがたまるが、こういったB級佳作は初めから期待してないせいもあって、ちょっと面白かったりすると凄い得した気分になる。
 だからB級探索はやめられないのだ…中にはホント、カスみたいなよく制作できたなってのもあるがそれはそれでまた味なのでたまらないのだが…とにかくオレは予算B級内容A級的な映画が大好きだ。


その拾六「力愛不二
ソニー・千葉リスペクト
 
 カラテ映画。
 オレが物心ついて初めて見た映画は「キングコング」だった。大蛇を切り裂いたゴリラの怖さと、巨大ゴリラを撃つヘリの爽快感、ゴリラの血の生々しさ。オレの心には機関銃のカッコよさと恐怖心だけが刻まれた。
 そして初めて心が震えた映画が小2の頃TVで見た「死亡遊戯」だった。
 仮面ライダー、ウルトラマン…変身ヒーローしか知らなかったオレには魂を揺さぶる大事件だった。
 やがて現れるジャッキー・チェン。ジャッキー・ブームで再び甦るブルース・リー。
 この当時邦画界でもカラテ映画ブームがあったことはオレは知らなかった。友人宅で見た「地上最強のカラテ」はプロレスブームと相まって映画とは知らずに見ていた。アントニオ・猪木の存在も大きく、それと同列に見ていた。

 何故、オレ等当時の子供たちは和製カラテ映画を知らなかったのだろう。
 拳法を習いたいという子供の願いは却下されたのだろう。

 答えは簡単だった。
 純粋に面白いからだ。
 本能を刺激する娯楽本来の要素がのままで見る者に迫るからだ。
 なんとなく中流家庭の良識ある親ならばとても子供に見せられるような内容ではないと判断されるのだろう。いわゆる低俗というやつである。

 昨今ではK1、プライドの効果もあって空手は健全な格闘技・武道と見做されているが、当時は暴力の象徴的扱いだったようだ。

 しかし量産されたってことはマーケットが存在したってことで、どれほど当時の和製カラテ映画が面白かったか述べてみよう。
 
        ここで取り上げるのは千葉真一主演「少林寺拳法」

 ここでいう少林寺拳法とは中国河南省の崇山少林寺ではなく四国に総本山を置く日本少林寺拳法である。
 中国で特殊工作員をしていた宗道臣が敗戦の後、日本へ戻り荒んだ故国で若者たちを育て、自ら不正と戦う『喧嘩ボウズ』として活躍する様が描かれている。
 千葉真一の体術の切れはダイナミックで鋭く、物語も単純明快。
 アクションを通り越した残酷バイオレンス描写。 
 初々しい志穂美悦子も魅力的である。
 
 で、この映画を見て何か得るもの、感銘はというと…ずばり無い!
 千葉真一の熱演は宗道臣ではなく間違いなく千葉真一を演じてるし、怒涛のごとく襲いかかるバトルシーンは感情移入が入り込む隙さえ与えない。
 頭のいい良識派の連中が軽蔑する典型的作品だともいえる。
 オレは学歴も偏差値も思いっきり低い次元の人間なので「愉快痛快!」と心の中で喝采を送っていたが。
 だいたい頭の良いハイソな輩は平然と不正をし搾取を行うもの。
 劇中で千葉真一が…宗道臣がヤミ市の子供たちに説いていた「不法はいいが、不正はするな」という言葉を胸にオレも生きて行こうと思う。

 他にも「激殺!邪道拳」「激突!殺人拳1、2」「直撃!地獄拳1,2」「けんかカラテ 極真拳」とソニー・千葉主演作品を立て続けに見たのだがとりわけ「少林寺拳法」が一番面白かったので取り上げてみた。

 内容なんか無いようなもので(断じて駄洒落ではない!)、骨太な奴らの無邪気で純粋な荒ぶる魂の躍動をフィルムに刻む、それだけで良かった時代があったんだという、そんな憧憬を抱かせるファンタジーがかつてはこの国にもあったんだな…。
 
  


その拾五「亜美利加的最後活劇明星
チャック・ノリス強化月間
 
 オレは旬の映画については語らない。
 旬は食材だけでいい。
 映画、音楽、その他諸々の“作品”の真価は話題の旬を過ぎてからわかるものだとオレは考えている。これは若い頃から変わらない思想だ。今でもオレは若いけど。

 とまあ、そんなこんなでチャック・ノリス先生だ。
 チャック・ノリスはブルース・リーとの戦いによって高名な俳優となった男だ。
 特技はブルース・リー以外には遅れを取ったことの無いカラテ!
 アメリカン右翼映画のスーパースターだ。
 余談だが、オレの携帯アドレスもチャックの名前を拝借してる。

 オレも知らない多くの作品に出演し、オレもタイトル忘れるぐらいの主演映画を見てきた。
 チャックの強さはご存知の通り、人間相手なら敵じゃない。
 ブルース・リーに負けたって?リー先生は神だから人間に負けたことにはならないのさ。

 
〜チャック名勝負寸評〜

 「ドラゴンへの道」
 オレが語るまでもない。他の人にお任せする。共に格闘家のベースがあったからこその名勝負。

 「地獄の刑事デカ
 オープニング・クレジットにも“CHUCK NORRIS IN”と紹介されながらなかなか出てこないチャック先生。
 どうやら主演はカンフーは出来てもスターとしての華が全く無い中国人青年のようだ。お、チャックだ!って悪役かよ!
 最後は正義の中国人青年にカラテ勝負で負けておしまい。
 一体これは何なんだ?
 制作はゴールデン・ハーベスト。ブルース・リー主演と言って「死亡の塔」をでっちあげたあのゴールデンハーベストだ…となれば納得は行く。
 それにしてもあんなちんちくりんに我らがチャックが遅れを取るなんて合点がいかない。この時代だったらせめてブルース・リャン(「カンフーハッスル」の火雲邪神のあのオッサン。昔は本当にカッコよかったんだから!)とか倉田保昭さんに倒して欲しかったよ。

 「テキサス・スワット」
 レンンジャー・チャックとヒル・ビリー(カッペ)犯罪王キャラダインとのカンフーバトル!
 「燃えよ!カンフー」でお馴染みのキャラダインズ・クネクネカンフー対チャックの武骨カラテは書格闘技的にはとくに見るべきところは無いが、アメリカン二大マーシャルアーツアクターのバトルとして映画史に必ずや記されるべき歴史的イベントである。
 とはいえ、香港カンフーアクションに親しんでいたオレはアメリカンカンフー、恐るに足りず、と当時は感じていた。

 「バイオニック・マーダラー」
 現代医学の暗黒面が、狂気の殺人鬼を不死身にした。
 チャックは得意のカラテでその殺人鬼を迎え撃つ保安官だ。
 これでいいのか!?とツッコミたくなる展開に名優ロン・シルバーの演技が光る!
 この作品こそ、チャック・カラテの無敵度が試された野心的作品である。

 「ヘル・バウンド」
 多分イスラム系テロリスト、ロストフと戦ったロス市警のチャック刑事デカ(と同一人物だと思う)が、悪魔の化身である殺人犯を追ってイスラエルへ飛ぶ。悪魔は強い。しかし、いかに肉体が悪魔のものであろうと「ただの力持ちが勝てるほど甘い世界じゃないんだよ!」と範馬刃牙ばりにカラテの真髄を叩き込むチャック刑事。
 かくして魔王降臨は回避されロス市警チャック刑事は世界を救うのだった。

 いかにアメリカン・マーシャルアーツ・アクターが今後現れようとチャックを越えられる俳優は出てきそうもない。
 
ブランドン・リーは父親の足元にも及ばないが、しかし軸のブレない殺陣は見事だった。だが彼もこの世には居ない。
 
 ドルフ・ラングレンは極真世界大会に出るほどの実力者だが、俳優としての実力が無いのか、作品に恵まれないのかいい歳になってしまった。
 
 ジャンクロードバンダムは股開いてるだけのオバサマ向けAV男優でしかないし。
 
 マーク・ダカスコスは「オンリー・ザ・ストロング(熱血カポエラ先生)」で、来るかな?と思ったけど伸び悩んでる感がある。

 やはりマーシャル・アーツというかカンフーはアジア人でなければその魅力を表せないのか…というわけで期待してるぞ、リー・リンチェイ!
 でもジェットってもう40越えてるんだよなあ。
 するってえとやっぱ、次世代のマーシャル・アーツ・アクターは勢いのある韓国からか?
 クォン・サンウ(韓流大好き婦女子に人気の)主演の「マルチュク青春通り」結構面白そうだもんな。
 忘れちゃいけねえ、タイにはトニー・チャーがいる。
 いずれにせよアジア人だ。
 
 やっぱ最後は銃とか兵器に頼っちゃうお国柄にあっては、真の武打星は生まれないってことだね。



その拾四「英群胆義
導演:呉宇森
この漢字に血が騒がないヤツは冷血漢か、西洋かぶれのアスホールだと思う。

ここんとこ産廃処理場行きの中古ビデオを救出するのがオレの使命なのだが、先日秋葉原の中古ビデオ屋へ行ったときは「これが萌えってやつか?」ってぐらい興奮した。
ビデオバブル時代の愛すべき文化的遺産とは決して言われることの無い作品の数々が並んでいたのだった。

例えば古い映画は一部は名画として語られ、あらゆる層を呼び寄せ興行収入をあげた映画は人々の娯楽の一要素として刻まれ、一部の層に熱烈に支持された映画はカルト作品と称され敬意をもって受け取られる。そしてあまりにもヒドイ出来の映画はサイテー映画としてレジェンドになる。

そのいずれにも引っ掛からない映画はやがて廃棄処分となり、人知れず消えてゆく。
悲しいことだ。
そんな作品たちの中にも…すべからく愛すべき要素はあるのである…あの「REX 恐竜物語」にも!…未見だけど。

と、偉そうに言ってみたところでオレだって全ての作品に目を通せるわけが無い。
それでも少なくとも琴線に触れた作品たちはなるべく表に出して行きたいと思うのだ。

だいぶ前置きが長くなってしまったが、この秋葉原ショッピングでオレにある予算は1000円。
テープは1本210円だ。
オレはじっくり吟味した結果
「ラピッドファイアー」:ブルース・リー先生の息子ブランドン・リー主演!
「サバイビングゲーム」:ルトガー・ハウアー、アイスT主演の佳作。昔見たことがある。
「ワイルドヒーローズ」:ジョン・ウー香港時代作品。今回の表題が原題。
この辺はこの値段で買えるならお値打ち品として、ちょっと映画に興味がある、或いは詳しい人なら納得の選択だろう。

しかしある人にとってこれはお宝ではないかと思えるのが…オレもこの2本があったときは大興奮だった。
あの作品があったのだよ!
これはこの時代映画が好きになりなけなしの金を握り締めエロビデオを借りるか、映画を借りるか迷いに迷った青春時代を過ごしたご同輩には特別な思い出があるのではないかという2作だ。
ロボポリス」「悪魔の毒毒プラトーン

ついにオレは手に入れたのだ!この2作を!
「ロボポリス」:悪評は当時から散々なものだった。ロボット刑事モノ「ロボコップ」のヒットに便乗してリリースされた搾取映画のなんたるかを表してる作品と思われる。
同時期のロボコップとキョンシーとニンジャがごった煮になったアメリカ・香港合同作品「ロボ道士」はムチャクチャ面白かったのにね。
とにかく何故散々な悪評を得たのか(想像はつくけど…)この目で見るまでは死んでも死に切れん!ってことで、手に入ったことによりひとまず安心。

「悪魔の毒毒プラトーン」:トロマ作品はもしかしたら熱烈なファンがいるかもしれない。だから「別に大騒ぎするほどのことでもねえじゃん」と言われかねないが、とにかく当時「プラトーン」「ハンバーガーヒル」「フルメタルジャケット」のベトナム3作品が公開された時期に出したトロマの意欲作ってことでオレの仲間内じゃ話題になってたのだが、ついに誰も見ることがなく仲間たちは散り散りばらばらになってどこで何してるんだかわからない間柄になってしまったのだ。
このジャケを見たときは込み上げるものがあったよ。

やべー、「ワイルドヒーローズ」のことを語ろうと思ったのだが本題ズレまくりだったな。
チャウ・シンチー、ダニー・リー、ウー・マ、シン・フイフォン、ティ・ロンといったオレがぐっとくる亜州電影大哥たちの他、「この人知ってる!」って俳優が出てて、ジョン・ウー先生が「英雄本色U」のパロディを自らやってるのが見所でした。
アクションシーンは迫力があり、映画もダレがなく進むんだけど、乱暴かつ暗い救いの無いストーリーでした…まあ、登場人物がみんなヤクザだからしょうがないのか。

その拾参「無想電影
アルバート・ピュンの思い出
ここ最近は名前を聞かなくなったが、ジャン・クロード・バンダムの日本での出世作「サイボーグ」の監督。
「サイボーグ」は2を飛ばして3(「ネメシス3」だったかな?)を見た。
「ネメシス」も見た。
共通して言えるのはピュンの映画は恐ろしくつまらないということだ。
こんなつまんない映画を作っておいて、何作も撮っている、そしてそれが商業作品として世に出ているのがこの監督のアメイジングなところだ。
はたしてアルバート・ピュンとは何者なのか?
つまらない映画…パッケージやプロモーションの画、舞台設定なんかはB級好きの琴線を刺激するのだが、実際に見ていつも愕然とする。
近未来を舞台にしてるのにハイテクに対する描写が古臭くて今時こんなハイテクは無えだろってほどのお粗末さ。銃火器を駆使し、マーシャルアーツアクションを織り交ぜてるのにまどろみの中進み行く物語。
はっきり言ってダメダメさ加減ばかりが目に付く。
しかし、オレはピュン作品が気になってしょうがない。
何なのだろう、この気持ちは。
ダメダメ映画を撮ってる監督といえばラリー・ブキャナンなんてのもいるが、とにかくこのテの映画の極北を生産する偉大な映画人たちのことをもっと知りたい。
そんなワケでオレは毎月「映画秘宝」という雑誌を買うようになったのだ。
しかし、ピュンほどの人になると洋泉社のライターの人たちも探求する気にならないようで、先月の秘宝誌に於いて、とある映画を評して「アルバート・ピュン的な…」という一文があっただけである。
ディープ・ゾーンを見ている人らにも一顧だにされない、そんなピュンがオレは大好きだ。ブキャナンもその次ぐらいに好き。


その十弐「極武髪
タクシードライバー
古代中国拳法界に於いてはその頭髪の結い方で技量の段位を表す制度があった…中略…その最高峰として存在したのが、極武髪である。
(太公望書林刊『世界頭髪大全』より)

ベトナム戦争から帰り世の中に不満を持ちつつ、ある日タクシードライバーの仕事に就いた主人公、トラビス。
ある日大統領候補の事務所で働く女に一目惚れしたトラビス。その日から彼の運命は走り出した。

正直、トラビスの行動は痛いっす!でもオレにはわかる!トラビスはオレなんだ!オレもトラビスと同じような行動をした思い出があるんで。
トラビス、そうだよな、しょせん彼女もよそよそしい人間なんだ。誰も彼女に触れることは出来ないなんて思ってたけど幻想にしか過ぎないんだ。そうさ、幻想さ。それでも今尚、幻想に憑りつかれてる訳なんだが…ああ、それでも自分が何者であるかだいぶわかってきたよ。
雨を降らせなきゃならない。そうさ、全てを洗い流す雨をな。

そしてトラビスはやった。鈍った体を甦らせる為の肉体鍛錬。どんな意味があるのかわからないがガスコンロで腕を焼いてみたり。
そして貯めた金で銃を買い行動に移った。
行動初日…トラビスの髪型はモヒカン刈りだった。
ああ、トラビスは試練を乗り越え極武髪が許されたんだな!
かくしてトラビスの逆襲が始まる!と、思いきや所詮ただの青年である男に出来ることなどたかが知れていて行動は未遂に終わってしまう。
悲しいよな、トラビス。
オレたちは所詮無力よ。

しかしトラビスは世界は救えなかったが一人の少女を救うことはできた。
良くやった、トラビス。オレはアンタのことは一生忘れないよ!

おそらく、多くの人が見たことのある名作だと思う。
トラビスは若き日のデ・ニーロ。
カミさんを黒人に寝取られた腺病質な男を監督のスコセッシ。
子供の売春婦にジョディ・フォスター。
売春頭がハーベイ・カイテル。
公開当時の状況は知らないがオレが見たときは既に彼らはビッグネームだった。

オレは高校生の時分と社会人になってから見たのだが、抱いた感想はそれぞれ違う。
ガキの頃はロバート・デ・ニーロ、ジョディ・フォスターの名前で見てた。
社会人になってからは作品として見られるようになった。
最近になってトラビスというキャラクターの視点で感じることができた。

『深夜プラスワン』という小説のあとがきに「優れたエンターテイメント作品は再再読に耐える」という表現があったが、同様に優れた作品は何度見ても感銘を受けるものだ、と思った。



その拾壱 電影拳「妄想昇流舞
トゥルーロマンス
オレが愛する映画だ。
これまでの映画の中で最も自分に重なり感情移入できる主人公がクリスチャン・スレイター演じるクラレンス・ウォーリーだ。
オタク趣味で(コミックと映画が好きなんてまんまオレじゃねえか)行動派ってとこがオレそっくりじゃん!さすがに今んとこギャングやヤクザ相手にケンカする度胸は無いけど愛する女のためなら命も惜しくねえ!という心意気は同じさ!
どうやらオタク監督タランティーノが無名時代に書いた脚本はオタク野郎の願望炸裂のようでマトモに人生を歩んできたオトナな人たちから見れば幼稚な内容かもしれない。しかし、オレのようなオタクでありながら、同種の人種には馴染めず一人でオタク趣味を続け、恵まれない青春時代を過ごし、疎外された社会人生活を送っていたものには極上のファンタジー映画なのだ。
劇中でクラレンスはエルビス・プレスリー特集を組んだNEWSWEEKを読んでいるあんちゃんに強引に話しかけるシーンがあるが、あれはオレみたいな人間をよく表してると思う。

キャスティングも凄い。
妄想に現れるエルビスはバル・キルマー。クラレンスの親父がデニス・ホッパー。クラレンスの親友のルームメイトはブラピ(最高のハマり役)。ギャングのボスはクリストファー・ウォーケン(デニス・ホッパーとの掛け合いは見応え十分)。他にも刑事コンビにクリス・ペンとトム・サイズモア。あっけなく殺される麻薬密売人にサミュエル・L・ジャクソン。チンピラの親玉がゲイリー・オルドマン。
トドメは劇中の映画にソニー・千葉、チョウ・ユンファ、ティ・ロンとアジアのビッグネームのハイライト・シーンが登場する。

冒頭、アラバマ(パトリシア・アークエット)の「奇跡はあるのね」というナレーションが入り、ラストで「私は暴力と血が渦巻く中でこの言葉だけが響いていた“あなたはクール、あなたはクール”と」というナレーションが入る。とても美しい。
オレもおねえちゃんに言われたいっすよ、そんな言葉。

台詞もタラならではのイカしたものが多々ある。
いかにも品の無いギャングが、「麻薬をキメてアソコを舐め舐めだ。お前ナメナメは好きか?」と聞かれて「例え舐めたとしても人前じゃ言わねえ!はしたないじゃんか!」って答えるとこなんかサイコーに笑いました。
また、パトリシア・アークエットがクリスチャン・スレイターに自分の正体を明かす時「私、コールガールよ。客を取ったのもあなたで3人目。使い古しじゃない。私ビッチじゃないわ!」ってシーンもぐっと来ましたな。
映画プロデューサーと相対した時「マッドマックス、ディアハンター…あんなパンチの効いた映画は滅多に無い」とクリスチャン・スレイターは言ったが、オレはうんうん、と頷いておりました。

「マッドマックス」「男たちの挽歌」「ヘルレイザー」をマイ・ベストに挙げ殿堂入りさせてるが殿堂入りクラスの作品はまだまだある。

この「トゥルーロマンス」もそうだが、「タクシードライバー」「エル・マリアッチ」なんかもオレの映画語りの中で永遠に語られるべき作品だ。




その拾 電影拳「伽羅陀淫
サイレントフルート
去年手にして以後、何度か再見した。
「燃えよカンフー」に続きキャラダインらの白帯カンフーが拝める哲学アクションだ。
本来はジェームズ・コバーンとブルース・リー師父中心で撮られるはずだったのだが何故かキャラダインが権利を手にしたという代物だ。

何とも不思議な映画である。
舞台はニムロデがバベルの塔を築く以前の地中海地方と思われる。しかしながら問答の中に仏陀が出てきたり、野盗の甲冑がローマ帝国風のものもあれば武士の甲冑を纏った者も居る。出てくる人種もあらゆる人種が居てサルまで言葉を喋る(サルの扮装をした部族かと思ったらサルそのものらしい)。
相変わらず、登場人物のマーシャルアーツ使いたちの技にはキレが無く、武術家であるとの説得力は皆無。まあ、素人キックと何ちゃってカンフーも見慣れれば独特の味わいがあっていいんだけど。
その他数々の重箱の隅を突付くようなツッコミは頭でっかちのオタクどもに任せておくとして、オレはこの作品はとても滋養に満ちた作品だと思っている。
そして、ドラクエなどのロールプレーンゲームが好きなやつにも入りやすいんじゃないかと思っている。
ドラクエ3に例えるなら、ダーマ神殿に行き賢者になることが最終目的に設定されたような内容なんで。
音楽は荘厳かつ叙情的。
舞台の風景は壮大で美しく、まるでファンタジー世界にいるかのようだ。

数々の試練を乗り越えた主人公が求める教典とはいかなるものなのか?
最強戦士ジタンとは何者なのか…それはクリストファー・リーだったりするのだが。

とにかくこれを見れば人間のレベルが一段アップすることは間違いない。
英知の光とは?人生の答えとは?ただ安寧に生きることに疑問を持つ探求者たちはこの作品を是非見て欲しい。

オレはキャラダインの醸し出すどっかマヌケな感じもするのだが何ともいえない味わいが大好きだ…これが「キャラ萌え」ってやつ?


その九 電影拳「挽肉之丘
ハンバーガーヒル
「プラトーン」「ハンバーガーヒル」「フルメタルジャケット」何だかよくわからないけど80年代半ば、ベトナム戦争モノのムーブメントが起こった。
ボンクラ高校生のオレたちの間で一番人気があったのが「ハンバーガーヒル」だった。
最初から最後まで戦闘あるのみで、あざといキャラクター描写やお涙ちょうだいの演出が無かったところが逆に、兵士たちの悲哀を自然に感じられる作りになっていたと思う。
何となく戦争させられて地獄を見せられる等身大の青年たちというところに、やたら悲劇を煽るオリバー・ストーンや、個性を出す為に戦闘シーンのリアリティを無視してるキューブリックらの巨匠作品では出来ない、「こちらから感情移入する」という作業が出来たと思う。
当時、オレは戦争ごっこが趣味だったので、ゲームの時はこの作品の主人公的存在であるフランツ軍曹を意識しまくっていた。そのぐらい好きな映画だった。

「プライベートライアン」の戦闘シーンの銃弾はズームアップの外でも飛び交ってる演出がされていて乱射戦の描写ですべての映画を凌駕してしまったが、それまではこの映画が一番弾着、爆破がリアルっぽかったと思う。

悲劇を悲劇として演出せず、部隊が遭遇することを淡々と描いていき、登場人物たちに背筋がこそばゆくなるようなメッセージを語らせず、そしてエンターテイメントとして押さえるべきところは押さえている(戦闘シーンとか)にも拘らず、おそらく興行的には3作品中最下位だったろう。未だに監督名も知らないし、その後出世した俳優も知らない。
それなりに世間で話題になった気もするが当時高校生だった自分にはそれを測り知る術は無かった。
その後もまた話題に上ることも無く…間違いなく3作品中一番面白かったはずなんだけど…。

「ハンバーガーヒル」から数年、フランツ軍曹役の役者主演の「ハードウェア」というB級作品を見た…おそろしくつまらない作品だった。もはやソフトを探すのも困難だろう。


その八 電影拳「韓流旋風
武士〜MUSA〜
ツイィーちゃん可愛いっす!
彼女の前ではさしものドラゴンもただの32歳のオヤジです。

と、可憐なる明の姫、チャン・ツイィーのせいで高麗人、漢人、蒙古人が血まみれ殺戮の荒野に放り出される羽目になるのだが。
とはいえ、ゆるゆるのいわゆる「韓流」とは一線を画す、大陸スピリッツに満ちた真の韓国のパワーが伝わる作品である。

同じ東アジア人同士なので序盤は中国、朝鮮、モンゴルが入り乱れどっちがどっちなんだ?と混乱するが骨太チャンバラは見応えあるし、お姫様と護衛を命ぜられた元奴隷の関係もしみったれたラブロマンスに発展せず非常に好感の持てる作り。
オレの好きな韓国人俳優、ホ・ジュノは出てないが「ホワイトバッジ」で横柄な鬼畜米兵を蹴り倒したアン・ソンギが渋く脇を固めチャンバラだらけの血まみれ道中劇のドラマ部分を引き締めます。

ユルいドラマなど斬馬刀で蒙古人がばっさばっさと斬り捨てる痛快アクションだが、不覚にもこのドラゴン、ほろりと来たシーンがありました。
それは蒙古人に息子を殺されボケてしまった漢人老女の面倒を見てた高麗人戦士が死すとき「息子よ」と抱きしめたところ。
あからさまに狙った感動シーンには虫唾が走るが、こういったさりげない描写には滅法弱いのであります。

凡百のハリウッド映画に金を出すなら気合のアジアンムービーを見よ!といったところである。



その七 電影拳 「破滅砲火
ダーティーハリー
少年時代にTV放映したものを見て以来の超有名作。
保存版としてマイライブラリーに加えていたのだがまったく見てなかった。
理由は日本語吹替えが入ってなかったから。

で、記憶に残る吹替え版との対比っていうんで見てみたら、やはり吹替え版のほうが味わい深いって感じです。
オレはイーストウッドというと山田康夫で育った世代だから。

ハリーの新しい相棒を迎える時の「黒人も白人も黄色いのもみんな嫌いだ、中でもヒスパニックは最悪だ」って部分、字幕版ではあっさりし過ぎてた。
スコルピオを追って公園に入った時の男娼の「わたし、アリス」のところはオレ、英語のオカマ言葉わかんないから、ここもやっぱ吹替え版の方がらしさが出てました。
殴り屋の「こいつはオレの奢りだ」って言ってスコルピオを最後に足蹴にするシーンも同様に…。
スコルピオがバスをジャックしてボート漕ぎの歌を歌わせる一連のシーンは吹替え版じゃないと面白くありません。
思わず「泣けるぜ」と、山田康夫ばりに言ってしまいました。

とはいえ、本作はやはり面白い。
非情な刑事と異常者、どちらも世の中から弾き出された存在…つまりはオレの憧れる逸脱者同士の戦いである。
ストーリー上、体制側の体裁上の正義である警官を勝たせなくてはいけないのだろうが、キャラクター勝負ではハリーの負けである。
スコルピオの表情はいつもイカしてて顔面を紅潮させながらガキ共にマジギレしてる演技は心の底からしびれたぞ。

「いつかはクラウン」なんてキャッチコピーがあったが「いつかはカー・ジャック」ってとこだな。
勿論、搭乗者には歌を歌わせる。
「歌え!歌わねえとテメエもテメエのママもぶっ殺してやる!」
とか言って。



その六 電影拳 「北斗聖木拳
北斗の拳
映画を純粋に楽しみたい人にはオススメ出来ないが、金をドブに捨てる快楽を知るスキモノなら通るべき作品である。

この映画に見るべきところは沢山ある。
鷲尾いさ子のハリウッドデビュー作品にもかかわらず、キャリアに箔がつくことはなかった恐るべきネガパワー。
かつての日本の少年だったやつらの思い出を汚す剛胆ぶり。
愛すべき男、シンに拳法ではなく拳銃でリュウケンを殺させキャラクターを無視する無神経さ。

制作スタッフは長州に「何がやりたいんだコラーッ!」と恫喝されるべきである。
そういやベイダーがレオン・ホワイトで出演してたな。

原作の「北斗の拳」も第一話から最終話まで通しで読めば破綻ぶりが目に付き決して素晴らしい物語とは言い難いものなんだが、それでも当時の少年たちに与えた影響を鑑みれば、優れたエンターテイメント作品と言って差し支えないだろう。

面白いか、面白くないかといえば間違いなく面白くない作品である。
しかし、ダメな映画、良い映画を判別する眼を養うにはちょうど良いのではないだろうか。
だって、原典があの「北斗の拳」なんだから、ダメなところ指摘して楽しむってことが出来るでしょ。



その五 電影拳 「毛唐疑似餌針
リバーランズ・スルー・イット
これは正直、やられました。
恥ずかしながら、ほろりとさせられました。

当時、ちょっとした釣りブームみたいなのがあって、この映画がフライフィッシング人口を増やすのに加担したかどうかは定かでないが、ブラッド・ピット人気もこの映画で顕著になった気がする。オネエチャンたちの間で騒がれてたのもこの辺りではないか?
そういった状況にあってひねくれ者であるオレはとにかくツッコミどころを見つけてやろうと構えてた。
「R・レッドフォードぉ?なんかいけ好かねえわ」「ブラッド・ピットぉ?キャーキャー騒がれやがって、気に入らねえな。ちょっと顔がいいってだけで。」
が見終わったら「レッドフォード、やるじゃない。」「ブラピ様、素敵!」ってなってました。

フライフィッシングの描写はどうでもよくて、オレは「スタンド・バイ・ミー」にも似たノスタルジック的なものが描かれてた。
都会へ出る者、地元に残る者、そして両者が共有した懐かしい時間。そしてそれぞれの今。
全てではないが、自分がこれまで生きてきて経験したことと重ね合わせ、その心境を感じることができる。
そんな映画だった。
主人公が最後に見た弟(ブラッド・ピット)の笑顔は見た者に美しい印象として残るような作りになっていた。

ブラピ様以外の出演俳優はソラで言えないが、主人公役の俳優を「ヘルレイザー」の新作で見た。
そこで描かれてた内容は、オレの最も嫌いな異次元とか超常現象の描写法だった。どう受け取るかは見てるやつに任す的な感じだったので。
作品にもよるのだが、ヘルレイザーは、あるんだか無いんだかわからないものをあるものとして描写して見せたから好きだったんであって、このような描き方されたら「この優れたファンタジー映画の名を使う必要無えじゃねえか!」って、心の中でブチキレました。
しかし、ヘルレイザーを愛するオレだがクライブ・パーカーの著書は一つも読んだことが無かったりする。
「パーカー先生の原作を読んだことも無いやつがヘルレイザーを語るな!」と、お叱りを受けそうなんで、この辺にしとこう。

まあ、とにかく、だ。
「スタンド・バイ・ミー」が好きだったやつは見ることをオススメするよ。もちろん「リバーランズ・スルー・イット」のほうね。



その四 電影拳 「森羅万象打突
 ロボ道士 シックスストリング・サムライ デリカテッセン ブレードウォーリアー
アメリカン・サイボーグ サルート・オブ・ザ・ジャガー ジョニー・ハンサム リベンジ イヤー・オブ・ザ・ドラゴン
「並ぶものなき…」という表現があるが、並ぶ作品を思いつく限り挙げてみた。
これらは客観的に見て優れた映画とは思えないのだけれども面白い映画である。
全体的に良く出来てるとかじゃなくて「ある部分が為に心に残った」という作品群だ。

ロボ道士」…「ロボコップ」と「霊幻道士」のパクリ?確かに元ネタはそこだろうがパクってるのはそこだけじゃねえ!流行りもんから頂いて好き者の財布から銭むしりとるにはそれだけじゃ足りねえんだよ!と言わんばかりのパクリキャラたち。記憶に残ってる限りじゃ他にもフレディ・キョンシーやアメリカンニンジャとかそりゃもうごった煮のお祭り騒ぎさ。今みたいなビデオレンタルのシステムじゃお目にかかることも無さそうな一品。この時代、この作品を見る幸運に巡り合えたことに感謝しなきゃいけないかもしれないな。つまんないかって?不覚にも面白かった。

シックスストリング・サムライ」…テンポがだるかったりするけれども、こいつは間違いなくイカす!バディ・ホリー似の主人公のチャンバラ、カンフーはすんごいカッコいいし、設定も悪くない。展開のヌルさとシマリの無さをなんとかすれば「エル・マリアッチ」級の快作になっていただろう。

デリカテッセン」…とにかくスケールが小さく意味不明。カタルシス・ゼロ。わくわく感も無いし、恐怖感も無い。SFでもないしホラーでもないし、当然サスペンスでもない。しかし!この画面から発せられる異様な絵、それだけでイイ!と思ってしまった作品である。クローネンバーグの「裸のランチ」を見るぐらいならこっちを見ろってとこである。ピーター・ウェラーのカミさん役の女優のようなキレイなオバサンが出てないってのが唯一負けてるところ。

ブレードウォーリアー」…アマゾネスモノ大好き!半裸のオネエチャンがカンフーやったり、鉄砲撃ったり、剣振り回してりゃもうそれだけでオレは惹きつけられてしまうのだ(ドリューちゃんとかルーシーさんとかディアスおばさんだけは願い下げね)…だが、話は気を失うほどつまらねえんだ。タイトルとパッケージだけで一部の好事家を寄せ付けるパワーを評価。

アメリカン・サイボーグ」…「ブレードランナー」「ターミネーター」とアルバート・ピュンの映画を混ぜこぜにしたような設定に本能が疼き手を伸ばす。チープな設定の映画を笑ってやろうじゃねえのって。ところが…である。ラストのせいで以外に面白いと思えてしまったのだった。まあ、所詮はこのテの映画なんだけど侮ってるとガツンといかれます。大々的に売り出したつまんねえ映画よりよっぽど金出す価値があります。

サルート・オブ・ザ・ジャガー」…今でははすっかり年老いて眼も見えなくなり、記憶もかすんでしまったが、あの男のことだけははっきりと覚えている。そう、デブる前の最後のルトガー・ハウアーを!荒廃した近未来とルトガー・ハウアーの最後の勇姿を見るだけの作品。そういや最近ジョアン・チェンを見ないなあ。

ジョニー・ハンサム」…ランス・ヘンリクセン、エレン・バーキン!これだけあれば後は何にも要らねっす!ミッキー・ローク、すっかりしょぼくれたオヤジになってましたね。クスリのやり過ぎじゃねえの?

リベンジ」…これもちっちゃい話。ケビン・コスナーもマデリーン・ストウも自業自得なんだが、例え実力者にして先輩のカミさんでも好きになっちゃったモノはしゃあないわな。横恋慕大いに結構です!まあ、この映画何が気に入ったかっていうとコスナーが自分をボコったギャングを便所の扉に叩きつけるシーン。かっこいいバイオレンス描写ってもんが凝縮されてた感じだ。このシーンが見たいが為に劇場で2回連続見ました。ああ、懐かしや、大阪は梅田の劇場見てました。
I LOVE OSAKA!

イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」…キャロライン・カバの普通の中年オバサンっぷりが○。細かい話は忘れてしまったけどそんなに引き込まれる内容ではなかったと思う。ただ、ジョン・ローンとミッキー・ローク(またかよ!)が向かい合いながら銃を撃ち合い走っていくシーンはムチャクチャかっこよかった!当時高校生でエアコッキングのピストル(BYマルイ)しか持てなかったオレだが早朝の公園で友達と「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」ごっこに励みました。
向こうはガスガンで連射は効くけど命中精度が悪く、こっちは命中精度はいいけど映画のような連射しながらのダッシュができず、なんとも悲しい17歳の地図でした。
東京みてえに人口密度の高いところじゃ夜中とか早朝に大声上げて撃ち合える場所なんて無いよな。
またやりたいなあ、イヤー・オブ・ザ・ドラゴンごっこ。

その参 電影拳 詠流美州えるびす疾風撃
ワイルド・アット・ハート
「セイラー、ルーラのママとファ○クしない?」猫なで声でニコラス・ケイジを誘惑するルーラのママ。スカートから覗く肉感に満ちた太もも…。
「ジョニー、あなたのマリエッタよ」老探偵を誑かす手練手管…。
もう、マリエッタ最高!
娘の彼氏を誘惑した上、チンピラをそそのかし殺させようとしたり、あるはずのないお色気をふりかざし男たちを狂わせる。
男なら、こんなババアと一度は絡んでみたいときっと思うはず。
そのぐらい魅力的なオンナっすよ、マリエッタは。

話自体はたいした話じゃない、ちょっぴり過激な駆け落ちモノといったとこ。しかし台詞、キャラ、映像がいちいちイカしてるのだ。
こと細かく挙げてみたいところだが、見てみないことにはその面白さが伝わんないと思うのでってことで。

二人に降りかかる様々な困難はスタミナ満点の特濃スープ。そいつをがっつり飲んだら西の良い魔女の魔法で驚愕のエンディングへ突っ走るのみ。
きっと誰もが言葉を失うだろう。
オレは封切直後に見に行ったが場内爆笑の渦だった。

オレはエルビス・プレスリーに興味は無かったのだがこの映画を見てキングの偉大さを知った…ような気になった。

確かその後、ちょっとしたリンチ・ブームが起こり「ツインピークス」が地上波で放映されてたな。当時オレはTVを持ってなかったし泊まり勤務で不規則な日程の警備員なんてやってたもんだから見たくても見れなかった。
カイル・マクラクランがリンチテイストたっぷりでジョージアのCMやってたせいで、オレは美味くもないジョージアを飲みまくってたよ。

台詞とかキャラクターの仕草を性格上覚えずにはいられないのだが、これのネタやってもわかってくれる人がこの狭い交友範囲じゃ紅蠍ぐらいしかいないのが悲しいところである。
オレもセイラーのように、あの娘に40のフレーバーが楽しめる首飾りをプレゼントしてあげたかった…そうすれば…きっと。



その弐 電影拳 「因果不滅脚
ハイランダー
>首を斬り落とさぬ限り死なない不死身の剣士たちの戦いを描いたスペクタクル。
ラッセル・マッケイの映画で、これ以外に面白い作品をオレは知らない。
続編の2、3はマリオ・ヴァン・ピープルズとかマイケル・アイアンサイド、ショーン・コネリーなんて渋い役者が出ているが内容的にはクズなので誤って見ぬよう前もって言っておく。

本編が始まるとオープニングでファビュラス・フリーバーズが実際に動いているところが見られる。今は亡きテリー・ゴディの日本でブレイクする前の姿も当然。
このシーンだけでプロレスファンは作品に好感を持つだろう。

フリーバーズの登場ですっかり世界に引き込まれたオレはその後、マクラウドの最初の妻が死を迎えるシーンで思わず込み上げてきてしまう。
クイーンのBGMは蛇足な気がしないでもないが「どうしてあなたはいつまでも若くいられるの?」「それは君への愛が真実だったからだ」ってシーン。思わず泣けてきます。
当時は「エエ話や〜!」なんて思ってただけだが、結婚し、すっかり所帯じみたオバサンになってしまったであろう我が比類なき思い姫に、いつの日か同じ言葉を聞かせてやりたいと願う今日この頃。実は純愛路線のドラゴンでありました。

そして現代、古物商を営むマクラウドの秘書である老女…時は第二次大戦に遡る。
マクラウドはその不死身の肉体でナチに追われるユダヤ人の孤児を助ける。そしてその子の名前は秘書と同じ名前。
ずばり言わせてもらおう。このシーン見れば「レオン」なんて見るに値しませんよ!ありゃ、冗長で中途半端なクズ映画っすよ!

「レオン」って何であんなに評価高いんだ?ジャン・レノは非情なスゴ腕殺し屋のオーラも説得力もない。初めから人情以外取り柄のないおっさんにしか見えない。物語の規模からいっても地回りヤクザぐらいのもんで十分だろ。
ナタリー・ポートマンはあれで出世できたわけだがアクションもドラマも中途半端。
同じ設定で監督ウォルター・ヒル、音楽ライ・クーダーで撮った方が乾いた世界の中の、ささやかな潤いのせつなさとか、儚さを効果的に出せたんでねえの?と思う。
か弱い少女と戦士の、恋には決してならない心の交流を描いたオハナシなら「ベルセルク」のジルとガッツの物語のほうがよっぽど…いや、比較するのが三浦健太郎先生には申し訳ないぐらいきちんと描けてたと思う。

世界の(?)映画監督リュック・ベッソン<日本の漫画家、三浦健太郎ってとこだな。

何だか最後はリュック・ベッソンの悪口になってしまったが…ハイランダー以降、オレはクリストファー・ランバートの主演作品を漁るようになった。
クリストファー・ランバート、一部の専門誌で「B級若頭」何てニックネームをいただくようになっていたが「ガンメン」は間違いなく面白いので見かけたら買うなり借りるなりすることをオススメします。
マリオ・ヴァン・ピープルズ、ブレンダ・バーキ(アメリカンゴシックのセクシー女教師役にしてドラゴンがそそられる女優90年代ベスト1!)、プロフェッサーXのハゲ役者なんかも出てて何気に豪華キャストかも。
デ・ニーロの「ミッドナイト・ラン」テイストの快作といったところだな。

その壱 電影拳 「青春地獄拳
ヘザース〜ベロニカの熱い日
監督は不明。
オレはウィノナ・ライダーが好きなので彼女主演ということで日比谷の映画館に見に行った。
共演のクリスチャン・スレイターはまだそんなに有名じゃなかったと思う。
「頑固じいさん孫三人」の女の子がいじめっ子役で出てた。

高校生で素敵な青春を送れる奴らっていったいどのぐらいいるんだろう。
恋人との出会い、ちょっと先の未来の自分に期待と不安を抱き…なんて甘っちょろい境遇に無縁な学生時代を過ごしたオレは(低偏差値の地方工業高校卒)映画で描かれる若者が、或いはそういう時代を過ごした奴らが大嫌いだ(妬みだね、持たざる者の)。
そんなオレが受け容れられる数少ないティーンモノ。

冴えない女子高生、ベロニカの逆襲とそれを後押しする(感じがするだけ)JDの活躍に、不遇の思春期を過ごした諸兄は感情移入すること間違いなしだ!

「ビバリーヒルズ青春白書」に中指を突き立てる感性をお持ちの方は是非。
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