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今更韓流ブームもないと思うからやってやろうじゃないの、韓国映画。
実は韓国映画は『ホワイトバッジ』から注目してた。
アン・ソンギが白人優位主義をテコンドーの見事な足技で蹴り倒す痛快なシーンが見所のアジア発『ディアハンター』である。
当時は韓国が日本より狭い国だと知らなかったし、その後パンチの効いた作品の噂を聞かなかったので「香港の次は韓国か?」ぐらいで止まった。で、結局自分の中では香港映画の影に埋もれる形となっていた。
次に意識したのが『シュリ』だ。あれは凄かった。ハン・ソッキュとチェ・ミンシクの対決シーンがアメリカ映画的だったという点を除けばかなりイケる映画だった。
それから程なくしてヨン様と来たもんだ。あれは受け付けられなかった。所詮はまぐれ当たりか?と。ところが違った。『火山高』『猟奇的な彼女』『チング』『武士』…オレが見たのは数えてみるとこんなもんだったが何とすべてが面白かったのだ。
また愛読誌『映画秘宝』は面白い作品なら資本規模の大小を問わず大きく取り上げる雑誌だから以前から韓国映画を取り上げていた。その秘宝誌が熱く持ち上げたのがこの『SILMIDO』である。劇場公開を見に行こうと思ったほどだが一人で映画館に入るのは寂しい性質なのでソフト化を待った。ソフト化されたものの金が無く結局露天で買った。しかし海賊版の疑いがあり、そのこと自体は気にしないのだが一部海賊版ソフトにはウィルスが混入しているとの噂を聞き、当時PCでしかDVDを鑑賞できなかったオレは、このソフトを封印せざるを得なくなっていた。そうこうしているうちにTVで放映され結局一番最初に見たのはそれだったという屈辱を味わう。
結局今年になってプレステ2を買いようやくマイ・ソフトを鑑賞できるに至ったのだった。
今年になってようやくTV放映版では見逃した前半部、カットされたと思われるシーン、韓国語の台詞を聞き補完されるに至ったのだった。
物語自体は悲劇でドラマ演出はベタ、しかし熱いのだ。わかっちゃいるけどぐっと来るという感覚。冗長な恋愛描写もない。素晴らしい…ってベースは実話なんだもんな、これ。
オレの韓国人の印象って虎なんだけど(現実の韓国人の友人は虎じゃなくて漢だけど)そのイメージが当てはまるようなお国柄である。
体制の敵を討つためなら、死んでもいいような犯罪者にムチャクチャ厳しい特訓を課して殺人のプロフェッショナルに仕立てるって、いくら極秘とはいえそんな乱暴なプロジェクト発案し実行に移しちゃうんだから!
で、現実は映画以上の過酷な訓練を課してたっていうし。あんなことされたうえで生き残れば、そりゃ嫌でも強くなれますわな。
そんなこんなで生き残りゃ集団社会ゆえ、友情も生まれるのが人間というものであり、命がけの日々であるならなおのことであろう。
結局、金日成暗殺は無に消え、シルミド部隊は存在を抹消されることになるのだが、抹殺を実行するのがやがては友情で結ばれた教官たち。
ここから一気に展開がポップ調から哀愁泣きメロへ。やがてハイスパートサウンドからスローなバラードへ。
実録モノであるものの展開的には非常によく出来ている。事実のレポートである前に商業作品じゃなきゃならないもんね。
宣伝のコピーに“切なく痛い”というのがあったが、まさにその通りの内容で見応えのある作品であった。
しかし、いくら存在を大統領に認めてもらうためとはいえ、なぜ彼らは逃げ場の無い選択をしたのか…ドキュメンタリー番組も放映されたが未見のためその“何故”がわからず終いだ。
そしてこれもまたアメリカの覇権主義の弊害のひとつだ。
確かに第二次世界大戦に於けるアメリカの活躍は日本に民主主義をもたらし、朝鮮、中国から日本帝国軍を取り除いた。
この事実だけ見ればアメリカは正義を実行したように見えるが正義など無くただ自国の利益のための戦略であり、所詮アジア人どもを自らのコントロール下に置きたいだけの事である。
とまあ、そんなことをわかっていながらなんでみんなアメリカが好きなんだろうね?
確かにアメリカ人の市井の人々のバカっぷりは楽しいし、おおいに受け容れられるよ。でも所詮は彼らは白人であり、到底我々アジア人とは相容れぬDNAを持ってて、そいつが根底に流れている…そんなやつらにへつらう日本人を見てると悲しくなってくるよ、まったく。
などと、この一つのエンターテイメント作品からグローバリズムに対するアンチな気持ちがいっそう強く育って行くのを感じた次第であります。
オレにだって白人の友人はいる。しかし白人国家の為すことと来たら…アジア蔑視を感じるのはオレの被害妄想?
…と、本文を締めるにあたってこの作品は危険な作品であると感じた。
ドラゴン流コピーをつけるとするならば『スクワッド』の“場内流れ弾注意!”からパクって“ナショナリズム高揚注意!”といったところですな…。
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2005年分はこちら>> |
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