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エル・マリアッチ
 DVDをいじれる道具を入手した。
 そこで、ここでオレのお気に入りの映画『エル・マリアッチ』の魅力について画像を駆使して語り倒そうと試みた。


 念のため、基本情報を。
 ロバート・ロドリゲス監督が27歳の時、投薬実験のバイトで稼いだ日本円にして70万円ほどの制作費で作り上げた、パンチの効いた予算B級以下。内容超A級的快作。
 この作品を作り上げたことにより『デスペラード』『フォールームス』『スパイキッズ』などの有名作品を作り上げて行った文字通り出世作である。
 そして、これが商業作品デビュー作というのだから、その才能に敬意を表さずにはいられない。

題して…「エルマリアッチここが味!」特集

ザコキャラのステキさんたち


▲いかにもナイスなメキシカン
 マリアッチが仕事を求めてバーへ。
 テクノロジーが人間をのす世の中。マリアッチの居場所は無かった。
 どんな演奏もこのメキシカンの持つハイテクキーボードがこなしているのだ。
 鍵盤をたたけば声も出る。キーボードに組み込まれたプログラムが電子音でメロディーもリズムも奏でてくれる。
 この男が立ちはだかった為に、マリアッチ、職探し失敗。


▲メキシコの荒井注
 荒井注以外の何者でもない!
 度胸があるのか、びびり屋なのかよくわからないが、とにかくがめつい現金な宿屋のオヤジ。
 マリアッチを殺し屋と勘違いし、ギャングに売り渡し、『アクーニャ・ギャング抗争』を激化させ、マリアッチからギターと左手と愛を奪わせた、小さな町の大きなトラブルメーカー。
 この事件があった為に、マリアッチはアントニオ・バンデラスになり『デスペラード』が生まれ、『ワンス・アポン・タイム・イン・メキシコ(レジェンド・オブ・メキシコ)』ではついにジョニー・デップまで参加させるという事態に至るというわけで“マリアッチワールド”の生みの親的役割も務めている。



▲「ドンタコス、コイケヤ」
 「ドンタコスったらドンタコス…」そんなCMがあった。
 軽快なステップを踏んで路地を進むオヤジによく似ている。
 アクーニャの町のバーのバーテン。
 バーのオーナー、モコと敵対関係にあるアスールの襲撃を受けた時、ボスであるモコに事態を告げる際の電話の持ち方が秀逸だった。
 尚。このバーは『デスペラード』でチーチ・マリンがバーテンを勤め、タランティーノが訪ねるちょっとした店に成長した。


メインキャラ


▲殺し屋リーダー 結構弱い

▲能無しの役立たずどもの面々
▲挙句の果てにはボスを見殺しに…
 もし、あなたがギャング組織、あるいはヤクザ組織を作るなら、メキシコ人だけは使わないほうがいい。
 なぜなら、どいつもこいつも役立たずだからだ。
 まず、ボスの命令をまともに遂行できない。ボスが窮地に陥ると簡単に見殺しにする。
 こんな悪党どもを雇うには、あなたに相当の寛大さと、度量が求められる。困ったことに、何度叱責してもいっこうに改められない輩なのだ。
 
 
 「何やってんだよう。ちゃんと選対に張り付けって言ってたじゃないかよう。ダメじゃないか、このバカモノが。お前は何を言っても無駄だよな。怒ってもダメだし、殴ってもダメだろうし…どうしたらわかってくれるんやろね。」
 かつてミラレパを叱った尊師の境地を味わえよう。
 

 これは『エルマリアッチ』だけのことではなく『デスペラード』でも同様だった。
 逆に言えば、もしあなたが、ヤクザの世界で生きていきたかったらメキシコでヤクザになることだ。
 ボスは寛大なので、しくじっても怒られるだけで済む。
 殺し合いの憂き目も見るが、まあいいとしようではないか。
 ちょっとでも有能なところを見せると出世も早いかもしれないぞ。


▲オレのおばさんに良く似てる
 その辺にいる中南米のオバチャン。
 コンスエロ・ゴメスさん。
 本職はもちろん女優などではない。低予算映画ならではのキャスティングで、本職は市の職員だそうだ。
 いちおう本編のヒロインでマリアッチに戦う理由を与えた役割を果たしている。
 『デスペラード』の冒頭で死体を演じてるのが彼女。
 オレの死んだじいさんの妹に当たる人によく似てるんだこれが…。
 華の無いヒロインとはいえ、オレは感情移入できましたよ。


▲『デスペラード』ではクレイジー・カンパ役
 カルロス・ガルラド。
 のちに『シングルアクション』という映画を撮る。未見だがソフトを見つけたら即買いだろう。
 このメキシカンの普通のあんちゃんっぽい男が本編の主人公である。下段に出てくるアスールという男に間違われた為に、散々な目にあうのだが、思いのほか強く窮地を切り抜けていく。
 予算を得た続編では、主役をアントニオ・バンデラスに取って代わられるが、オレとしては精液臭の濃すぎるバンデラスよりガルラドのほうが合ってると思う。
 余談だが、昔、板橋のバイクショップ主催ツーリングの常連だった頃、ガルラドそっくりのCB750Fボルドール乗りのあんちゃんがいた。


▲「ギターラ!」アスール、ピ〜ンチ!

▲強烈過ぎるアスール・ギャル
▲ピンチの親分を見殺しにして逃げた手下たち
▲どの口が言う?と突っ込みたい素敵なセリフ
 モーリシオ(モコ)はかつてアスールから借りた金を 資本 もとでに裏社会でのし上がったらしい。
 モコ出世の功労者であるアスールは獄に繋がれる憂き目を見たが、ワイロとそのカリスマで、シャバにいるより稼いでいたようだ。


 そんなこんなで、モコに恨みを募らせるアスール。力を付けていくアスールを疎ましく感じるモコ。
 ついに二人の確執は血で贖わなければ清算されないまでに進展した。


 というわけでボスなら、自らの手を汚さず手下どもを使って目的を遂行したいところだが、なにせここはメキシコ。能無しどもに本懐を委ねるには、あまりにも不安が多すぎ、結局自分で動くしか確実な法が無い。
 まずは景気付けに3人殺して出獄。もちろん看守にはたんまりワイロを忘れない。


 やって来ました、アクーニャの町。
 まずはビールだ。
 アスールほどの男ともなると、グラスやジョッキに注ぐなんてまどろっこしい真似はしない。
 「ビンごとだ。」
 緊張のあまり、バーテンの手つきもぎこちなく止まるってもんだ。
 ここで4人殺す。


 さあ、いよいよ復讐の本懐を果たす時。
 ゴメス姐さんを人質にモコの農場へ。
 しかし、アクーニャ・ギャング界のカリスマは情が厚いという、ギャングとしては致命的な弱点があった。
 そこをつけこまれ、あえなく返り討ちに。


 昔勤めてた会社にアスールそっくりな同僚がいた。
 まだ警備員やってるらしい。
 酒の飲み過ぎで鳥目になっちゃったんだって。 


▲挑発にムカつくモコ
▲役立たずの部下にキレるモコ
▲「ギタリータァ〜!」

▲それでもまだ下位の小者
 とても素人とは思えないナイスな表情の演技をするモーリシオ。
 なんでも、ロドリゲス監督が投薬実験のバイトしてた時に知り合ったそうで、このバイトの常連だったらしい。
 

 ロドリゲスの著書『ハリウッド頂上作戦』でその経緯が書かれてるのだが誘った理由に「クリストファー・ウォーケンに似てるから」ってのがあり、ロドリゲスに更なる親近感を覚えたものだ。


 アスールの暗殺が未遂に終わり、はらわたの煮えくりかえるモコ。
 アスールに襲われたバーテンを電話越しに怒鳴るモコ。
 アスールに挑発されムカつくモコ。
 能無しの殺し屋のヒゲの剃り跡でマッチを擦るモコ。
 殴りこみに来たアスールに演説をぶちかますモコ。
 ドミノにつれなくされぶち殺すモコ。
 ドミノを取られた怒りをマリアッチにぶつけるモコ。
 マリアッチに反撃され、手下たちに見殺しにされるモコ。
 手下の殺し屋にヒゲの剃り跡でマッチを擦られる死体のモコ。


 その一挙手一投足がステキすぎた。
 
 かつて、ナイトライダー、トーカッター、ジム・グースなどの強烈なキャラたちがいたが、それに負けるとも劣らない味でパンチの効いたキャラクターだ。
 『マッドマックス』と本編に共通するのはどちらも低予算映画であるというところ。
 実際、金のかかった大作映画よりも、低予算の佳作の方が見応えあるしね。


 こんな素敵な首領、アクーニャのモーリシオも、実はマリアッチの実兄であるサンタ・セシリアのブチョの手下に過ぎなかったという事実に『デスペラード』を見て驚いたものである。
 能無しどもの巣窟に思えたメキシカン・ギャングだが、こいつら想像以上に大きく底深かったのである。


 サプライズとステキの宝庫であるロバート・ロドリゲス兄ぃのマリアッチ・サーガ。
 順番としては『デスペラード』『レジェンド・オブ・メキシコ』と見て『エル・マリアッチ』と見ていくのがいいだろう。
 あるいはロバート・ロドリゲスを良く知らない人はこの1本を見て今後を決めるのもいいかもしれない。

 ちなみにオレの好きなロドリゲス映画は、これと『デスペラード』と『フロム・ダスク・ティル・ドーン』だ。


その他のナイスアイテム


▲GPZ1100F中米仕様?

▲ストーリーにはまったく関係の無いナイスドッグ
 ココナッツ水がタダという素晴らしさに、希望を胸にやってきたアクーニャだが、結局呪いしかなかった。
 
 でも、この妙ちくりんなGPZに犬をくくりつけ、アスールが残した銃入りのギターケースを担ぎ、マリアッチは明日に向かっていった。

 この奇妙ないでたちと、なんじゃそりゃ?っていう締めの台詞が何とも美しい。
 
 ある時期、オレはとても落ち込んでいた時期があった。体重も6キロも落ちた。
 そんな時も心には『エル・マリアッチ』があった。
 当時はバイクも銃も無かったけど、オレには空手があった。こいつで向かっていこうと思った。未来へ。


 映画が人に与える力があるとするならば、この映画がそうだ。

 この作品を作ったロドリゲス。オレがリスペクトできる数少ない有名人のひとりである。

▲サイドビュー、謎のダクトが気になる
▲バイクと銃で明日に立ち向かうマリアッチ
▲ギターケースには銃火器、タンデムには犬

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