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水滸伝之英雄本色
 先日、GYAOTVのメニューにあったのでもう一度見てみたくなった本作。


 水滸伝。
 中国四大奇書のひとつ。
 四つを全部挙げろと言われても、他に知ってるのは『金瓶梅』ぐらいだが、金瓶梅の元ネタも『水滸伝』の一エピソードだそうである。武都頭(小隊の隊長みたいなもんかな)の あによめ ・藩金蓮と間男・西門慶のとこ。
 
 とにかくハマった。2005年の9月頃から2006年の6月の今もなお、読みふけるのは水滸伝関連が中心である。

 
 物語の概要はこうだ。
 宋の時代、悪疫が蔓延し軍民は塗炭の苦しみに喘ぎ、国は存亡の危機に晒されていた。勅命を受けた朝廷の将軍が稀代の道士にこの事態の収束を依頼。
 道士は見事、厄疫を払いのけ、宋には再び平安が訪れる。
 この時、心根の賤しい将軍が権力をかさに道観にある「伏魔之殿」をこじ開けさせる。
 封印が解かれたとき、中空に一百零八の魔が放たれ幾星霜…。
 時の皇帝の下には四人の奸臣が立ちふさがり、役人は腐敗し人々は圧政に苦しんでいた。
 そんな世に、運命の糸に導かれ梁山泊に集まった108人の英雄、好漢たち。彼らは、かつて伏魔之殿に封じ込められた魔物の生まれ変わりである。
 彼らは血より濃い絆で結ばれ、一大勢力となり、やがては官軍に召し入れられ争乱と賊徒の跋扈する大宋国を平定して行く。


 えげつなく、残酷で自分勝手、目的のためなら手段を選ばない好漢たちの活躍ぶりは、お子様には非常によろしくない内容である。非道徳的なエピソード満載なのだ。
 え?こいつら本当にヒーロー?と思うシーンもしばしば。
 しかし、彼らはまごうことなく英雄・好漢の類と言っていい。
 何といっても文章表現がイイ!
 講談的なものを文章に起こしているので、読んでいて楽しいのだ。眉をひそめるようなシーンの描写でも「あっぱれ」と、快哉を送りたくなるほどだ。
 
 例えば108好漢の中の人気者黒旋風・李逵なんぞは、梁山泊首脳部の指示で美髯公・ 朱仝 しゅどうを仲間に入れるため、何のためらいもなく、県知事の4歳になる息子を殺し、あまつさえ死体の生首を使っておどけて見せるというハチャメチャぶり。
 当然、朱仝は怒り狂い李逵を殺そうとするが、後の祭り。逃亡を余儀なくされ梁山泊入り。
 

 オレが「そりゃねえだろ!?」と突っ込みたくなったのは霹靂火・秦明の梁山泊入りのエピソードだ。
 秦明との戦に勝った小李公・花栄らは、敗軍の将にして元上司であった秦明を、ねんごろにもてなし、その間に秦明の扮装をした手下の者に兵を率いさせて、秦明の住んでいた城郭を襲わせる。
 宴会が終わり、城郭に戻ってみると、賊に寝返った叛乱分子として正規軍の追及を受け、見せしめとして妻子が殺され、仕方なしに花栄の元に戻る秦明。
 「貴様らのせいで妻と子を殺された」と憤る秦明。宋江は「それなら花栄の妹を娶って共に梁山泊へ行こう」と、恐るべき代替案を提示。
 それを意外にあっさり飲んで、一同に加わる秦明。
 我々の感覚でいったら「まさか!?」でしょ。
 秦明も天猛星の座にいる人なので、おのずと意気投合したそうである…。
 好漢たちが、いかに目的のためには手段を選ばなくてもこのエピソードだけは納得しかねる。
 

 で、彼らをまとめるのが情に厚く世話好きという以外、何の取り得も無い無能の男、及時雨・宋江だ。
 手柄といって、梁山泊の実質的リーダー、晁蓋とその仲間の危機を役人だからこそ得られる情報の横流しによって救ったぐらいのもの。オマケとして暴れ者の李逵が何故か頭が上がらないということ。
 

 はっきりいって悪たれどもです。でも、そんな好漢たちがまた素敵なのさ。


 108人もいれば、自分に重なるキャラクターもいるわけで、自分が重なったのは地僻星、打虎将・李忠だ。
 末席のキャラクターで、槍棒の手並みで客を寄せる大道薬売りにして、九紋竜・史進の最初の棒術の師匠。しかし、所詮見栄え重視の技レベル。
 仲間が殺人事件を起こしたことで累が及ぶのを恐れ、逃亡したところ山賊に襲われ、その武芸の腕で頭を倒し、盗賊の親玉になる。しかし、山賊討伐にやってきた武将、双鞭・呼延灼のような一流どころには及ぶべくもなく敗退。
 北方版では「定職に就けない中途半端なインテリ」とあった。賊徒にもなりきれず、小さな山塞で反政府のマネゴトをしている山賊の親玉。
 

 水滸伝ラブを語ってはきりがないので本題の映画版のほうへ。
 原典を読む前から水滸伝自体には興味があったので水滸伝を冠したタイトルに興味を覚え見るに至った。
 香港映画ではお馴染みのリャン・カーフィアイやごっつい人をやらせたらこの人以外いないというチョイ・カムコンが、それぞれ豹子頭・林冲、花和尚・魯智深に扮し、更に林冲の妻役にジョイ・ウォン!民政を憂う良臣役(おそらく梁山泊軍招安や梁山泊のために何かと力を尽くした宿大尉か、林冲の舅である張教頭がモデルだと思われる)にウー・マ。と、まさに役者は揃った状態だ。


 本編は原作の禁軍武術教頭である林冲が、禁軍大尉(官軍の最高位)である
こうきゅう に憎まれ 東京 とうけい から追い出され、密殺されそうになるところを魯智深に助けられ梁山泊入りするまでを、原作にはない脚色と、香港ならではの剣劇アクションで描いている。
 この作品を見た当時は原作のストーリーは「中国で親しまれている水滸伝なるものがある」程度だったのだが、今思うと、よくもまあ、あれだけの容量をうまい具合にアレンジして詰め込んで、これだけ短くまとめたものだ、と感心する。
 勿論、脚本的に乱暴かなと感じなくもないのだが、トータルで面白きゃ許容範囲内だ。
 また、原典を読めばこそ楽しめる要素を見て取るのも一興だ。
 たとえば、林冲が山賊にさらわれた高 衙内 がない求の養子、映画本編では息子)を助けに乗り込んだ先で戦った首領。
 使用武器は金銭豹子・湯隆のものである。
 勇猛さに於いては托塔天王・晁蓋。
 貴人をさらうというシチュエーションは錦毛虎・燕順らの清風山。
 林冲と渡り合う腕前は青面獣・楊志が重なる。
 他にも、陸虞候がカッコよかったり、押しかけ弟子のモデルは操刀鬼・曹正か?…などなど。
 改めて見れば、また新しい発見もあるのかもしれないが、その話はあずかっておく(原典的表現)。
 GAOで無料放映していることだし、時間があれば是非もう一度見てみたい作品である。
 

  「 映画もいいけど、原典もね おせちもいいけど、カレーもね!」と、大昔のCMのコピーをパクって今回は締めとさせていただく。


 ※オレが読んだ水滸伝原典は、ちくま書房刊、施耐庵作・駒田信二訳の120回本


2005年分はこちら>>

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